タクシードライバーの仕事は自動運転やUberによってなくなるのか?

タクシードライバー

不景気のあおりをもろに受けて衰退がささやかれているタクシー業界は本当に衰退していくのでしょうか。

タクシー業界にわるい影響を与えるのは不景気だけではありません。

  • Uber(ウーバー)を代表としたシェアリングエコノミー

  • AI(人工知能)による自動運転

など、あたらしい技術や仕組みがタクシー業界にさまざまな影響を与えています。

マスコミなどの間では将来はなくなるだろう、という憶測もとびかっています。

この記事では

  • タクシー業界はいまどんな状況なのか

  • どんなテクノロジーがタクシー業界をおびやかしているか

などについて書きたいと思います。

タクシー業界の市場規模は下降しつつある

タクシードライバーの仕事が将来的になくなるのかどうなのかを調べるまえに、現在のタクシー業界自体の市場規模を調べました。

  • 1991年(平成3年):2.2兆円

  • 2013年(平成25年):1兆6,775億円

数字の引用元:国土交通省による発表資料

このように20年とすこしで約4分の3になっています。

ちなみに2013年は「シェアリングエコノミー」や「自動運転」などのキーワードは2017年と比べたら使われる頻度がかなり少ないタイミングでした。

つまりシェアリングエコノミーや人工知能などとは関係なく、バブルが崩壊したあとは下降ぎみの業界ということです。

なぜここまで下がったのかを考えたとき、その要因としては

  • 不景気(タクシー代を払うのがもったいない、企業がタクシー券を買わなくなった)

  • 鉄道などのタクシー以外の公共交通インフラの発達

  • 高齢化によるタクシーをつかう年代の人口減

などが考えられます。

減っているとはいっても市場規模が1.5兆前後あります。

なのでタクシー業界はいまでもかなり巨大の市場です。

げんにタクシー運転手の数は40万人〜50万人にものぼり雇用の受け皿としてはとてもおおきいです。

しかしこれから少子高齢化がさらに進み、日本国内の生産年齢人口がさがるのは間違いなく、放っておけば衰退していく可能性がたかいです。

少子高齢化と生産年齢人口の減少はタクシーだけにあてはまることではありません。

日本全体の問題なのでタクシー業界でなんとかできるものではありません。

タクシー料金はが高いのは人件費が占める割合が高いから

タクシーは初乗り料金がたかいです。

これが若者の利用をへらしている可能性があります。

東京では初乗り料金を410円におさえる施策がはじまっています。

短い距離間での利用はこの施策によって増えそうです。

まずは料金で消費者へアピールするのでしょう。

しかし、そもそもタクシー料金のうち7割ほどは運転手の人件費ですので、インフレでもおきない限り劇的に安くなることはありません。

タクシー会社によっては現在のような走行距離に対して課金で収益を得るビジネスモデルだけでなく、乗客がスマホアプリから動画広告を見てくれたら値下げするなどの案を

考えているようですが、実現はまだ先になりそうです。

※この場合は広告主がタクシー会社に広告宣伝料としてお金を払うことになります

例外として原油の価格が低下されて、ガソリンの値下げなどがあればタクシー会社の費用が低下するため、それが料金の値下げという形で消費者に還元される可能性があります。

しかし全体としては急激な値下げはあまり期待できません。

タクシー業界にとってマイナスの影響をあたえるもの

少子高齢化以外にも、タクシー業界の未来を考えるとマイナスの影響をあたえるであろう可能性がある物事として

  • Uber(ウーバー)を代表とする白タクサービス

  • おなじくUber(ウーバー)を代表とするライドシェア(相乗り)サービス

  • シェアリングエコノミーを起爆剤として普及が期待されるカーシェアリング

  • 自動運転タクシーをふくむ人工知能による自動運転技術の発明・開発・普及

などが考えられます。

それぞれ、タクシー業界にとってどのようなマイナスの影響があるかをかんがえます。

Uber(ウーバー)の白タクドライバーの増加

白タクとは個人がじぶんの車をタクシーとしてつかい営業することです。

日本では白タクは法律によって禁止されています。

解禁されるかどうかは法律次第です。

過疎地域限定での白タク解禁などは少子高齢化という現実をかんがえれば実現の可能性は高いでしょう。

海外ではすでに白タク配車サービスを運営するUber(とその類似サービス)が猛威を振るっています。

しかし、白タクは各地でトラブルや騒動をおこしています。

それが結果的に認知度をたかめているのか、白タク運転手になる人も増えています。

使う側からしたら利便性がよいので利用者からも高い評価をえています。

白タクが増えるということは個人のタクシー運転手が増えるということなので、既存のプロのタクシー運転手の需要は以前より減ることになります。

しかし、日本にもUber支社がありますが、白タク禁止という法律によって自由にはビジネスを展開できていません。

法律によって固く規制されている分野にはUberといえど無視して参入はできません。

ちなみにUberのサービス自体は日本でも利用可能ですが、日本で呼べるのはUberが提携したタクシー・ハイヤー会社による車のみです。

使える地域は限定されていますが、配車アプリとして利用できます。

Uberを代表とするライドシェア(相乗り)サービスの普及

こちらもキーになるのはUber(ウーバー)です。

Uberはさまざまなサービスを展開しています。

ちなみに白タクサービスの名前は

「Uber X(ウーバーエックス)」

で、ライドシェアサービスの名前は

「UberPOOL(ウーバープール)」

です。

白タクと同じくタクシーでの相乗りは法律によって禁止されています(タクシーが事業として相乗り希望者を乗車させることが禁止なだけで、事前に乗客が話し合って相乗りするのは合法)。

もしライドシェアが解禁されたら利用する側は実質的に料金が安くなるのは間違いなく、ライドシェアしか利用しないという人が増えそうです。

ですが、日本人の国民性は電車内で知らない人とでも会話するような国とはちがって人見知りで警戒心が強いです。

なのでライドシェアを利用するのはシェアリングエコノミーに対しての抵抗がうすい若者がメインとなりそうです。

もちろん若者の利用がライドシェアに移るのはタクシー業界にとって大きな打撃です。

しかし、メインのである社会人や高齢者の利用者は引き続きタクシーを使うでしょう。

ただ、ライドシェアに抵抗がない若者が社会人になり、さらには金銭的に余裕がある30代40代になるとシェアが一変する可能性があります。

カーシェアリングなどのシェアリングエコノミー

ライドシェアもそうですが、個人が遊休資産(たまにしか乗らない車など)を他のひとに貸しだして共有して使うような経済活動を

「シェアリングエコノミー」

と呼びます。

シェアリングエコノミーは遊休資産の活性化というエコ的な発想もあるので若者にはとても受けがいいです。

レンタカーもシェアリングエコノミーの一種と言えますので、シェアリングエコノミー的な要素をくわえてカーシェアリングは一気に普及する可能性があります。

カーシェアリングが普及するとこれまで車が必要になる急な用事があったらタクシーを利用していた人たちがカーシェアリングを利用しはじめます。

カーシェアリングについては

  • タイムズカープラス

  • カレコ・カーシェアリングクラブ

  • Anyca(エニカ)

などが利用者を増やしています。

もしかしたら大手企業の知名度でもっともはやくタクシー運転手の仕事を奪うのはカーシェアリングかもしれません。

自動運転タクシーを含む自動運転技術

人工知能(AI)を利用した全自動の車はおもにアメリカで開発されています。

たしかに将来を考えたうえで、全自動の車は便利ですが

  • 法律的な問題

  • 事故時の対処や倫理的な問題

  • 既存のインフラ(車・道路等)を刷新するコストの問題

  • 技術的な問題

など多くの問題をかかえており、1・2年で普及するような状態ではありません。

アメリカでさえ一般の消費者が利用するまで数年間はかかるでしょうから、日本の道路で自動運転タクシーが走るのはさらに先になるでしょう。

そもそも実現しない可能性もあるので、全自動タクシーについてはまだ影響をかんがえる必要がないかもしれません。

現在のタクシー運転手は法律によって守られている

タクシー業界の衰退とつながりがありそうな要素をみてみましたが、現在のところ日本の法律がタクシー運転手の雇用を守っています。

法律次第のように見えますが、いざ白タクが解禁されても品質を求める日本人らしさがあらわれ普及しないという可能性もあります。

さらに急に白タクが増えても、そもそも減っている需要にたいしてタクシー運転手が過剰に供給され、消費者の懐にあるお金が白タクドライバーにうまく分配されない可能性もあります。

カーシェアリングについては大手日本企業が運営しているので、業界を無秩序に破格するような行動はとらないと考えられます。

よって少なくとも都市部に関してはしばらくは問題なさそうです。

タクシー業界の市場規模を拡大しそうな変化

次はタクシードライバーにとってプラスになりそうな要素をみていきます。

  • 外国人観光客の増加でのニーズの増加

  • 配車アプリによる潜在顧客の掘りおこし

  • タクシー運転手の高齢化を救う女性のタクシー運転手(タクシー女子)の増加

  • タクシーの収益源の多様化

などがプラスにはたらく要素として考えられます。

外国人観光客の増加で英語ができる専用ドライバー「特例ガイド」の需要が増加

2020年の東京オリンピックをひかえ、外国人観光客は順調に増加しています。

しかし外国人観光客を乗せて英語で現地の情報を教えることができるドライバーはほとんどいません。

日本でも旅行などで現地のタクシーに乗ればご飯の美味しいお店や地元の人が行く穴場を聞くように、外国人観光客も旅行ガイドに乗るようなお店では無く日本人が行くようなお店に行きたいでしょう。

英語でガイド、タクシーGO 都が五輪まで300人育成

こちらの記事にもありますが、「特例ガイド」という資格名称でタクシーの運転をして、なおかつ観光案内ができる人材を国が育成します。

資格取得までは

  • 英語能力試験(TOEIC)600点相当の語学力を持ち

  • 研修と実習を受けて

  • 面接に合格する

という順序になるようで、ハードルはそれなりに高そうです。

顧客満足度という観点からはとても需要がありそうな資格です。

当然この資格があれば指名も増えるでしょう。

若者が配車アプリを使うことによりタクシーの利用が促進

配車アプリとはスマートフォンにインストールして使うタイプのアプリで、自分(乗客)がいる場所からGPS(位置情報システム)を利用して近くにいる提携タクシーを呼び出すことができます。

配車アプリを使えば道路でタクシーを探したいする手間が省けますので、利便性が高まります。

タクシーの乗り方を知らない若者が増えているという話もありますので、若者が利用するデバイス向けの配車アプリは潜在顧客の掘り起こしに役立ちそうです。

特に大学生など若者の間で飲み会の帰りは配車アプリでタクシーを呼ぶことが常識になればタクシー業界の市場規模の拡大につながります。

国産の配車アプリの中では日本交通の子会社「JapanTaxi(ジャパンタクシー)」による配車アプリ「全国タクシー」がダントツの人気です。ちなみに旧社名は「日交データサービス」です。

女性のタクシー運転手(タクシー女子)の増加

各企業もタクシードライバーの高齢化には頭を悩ませています。当然高齢のタクシードライバーは引退していきます。

対策として注目されているのは女性のタクシー運転手です。

女性のタクシー運転手に対して「タクシー女子」という今時の言葉を付け、積極的にメディア活動や求人募集などをしているようです。

タクシー運転手に求められる能力で、男性の方が女性より有利なのは

  • 長時間運転ができる体力

  • 男性客などが暴れた時の対応

などでしょうか。

体力はともかく酔っ払った男性客などは昔より減り、タクシードライバーは無線等ですぐに同僚や会社と通信可能な状態なので暴行事件は起きにくいです。

女性のタクシードライバーに対しては大手企業も安全性の面で配慮するでしょう(深夜の運転は推奨しない等)。

日本全体のタクシードライバー数が

  • 2003年(平成15年):482,620人

  • 2008年(平成20年):461,377

  • 2011年(平成23年):405,021人

  • 2012年(平成24年):425,302人

なのに対して女性のタクシー運転手の数は

  • 2003年(平成15年):8,338人

  • 2008年(平成20年):8,083

  • 2011年(平成23年):7,352人

  • 2012年(平成24年):7,177人

となっています。

女性運転手の割合は2%にも満たないので、増加の余地は充分です。

もちろん待遇や環境次第ですが、タクシー女子が増加すればタクシー運転手の高齢化は防げそうです。

活躍する女性が増えればタクシー業界のイメージ向上にもつながるでしょう。

タクシーの収益源の多様化

タクシー業界の収益は利用料金以外にも車の広告部分などがありますが、タクシードライバーの収益はタクシーの利用料金がメインです。

収益が利用料金だけというのも心もとないので他にも収益に繋がるビジネスがあれば会社もドライバーも潤います。

もっとタクシーによる広告ビジネスを活性化させるという方法が最も現実的ですが、将来は物流を担ってプラスアルファの収益を出すという方法もありそうです。

物流業界もタクシー業界と同じくたくさんの問題がありますが、

  • 通販利用客の増加

  • 顧客満足度を高めるための即日配達

などによって流通量が増加しています。

タクシーが一部でも物流を担うことにより運送会社の負担が減り、タクシー運転手の収入を増やすことができそうです。

といっても簡単ではありませんので、簡単には実現しないでしょう。

特に収益部分が改善できる余地がありますが、全体としてはタクシー業界の少なくとも全自動のタクシーが登場するまでは生き残りそうです。

もちろん安泰と言える状況ではなさそうですが、それはすべての産業で同じことですのでタクシー業界だけで様々な競争に晒されている訳ではありません。

既得権益を守るだけではタクシー業界は衰退する一方

タクシー会社や運転手は法律で守られています。

これは別に不公平な話ではなく、日本の産業や雇用が法律で守られているのはどの業種でも行われていることです。

しかし、日本は少子高齢化に伴う人口分布の変化等によってどんな業界でも大きな変化が起きること必至です。

そんな中、世界ではUberを含む配車アプリや相乗りサービスがどんどん普及しているのに、日本ではそれらのサービスが使えないというのは不自然です。

構造的な理由でそれらの便利なサービスが使えないとなると、メディア等から

「閉鎖的だ」

「既得権益をいたずらに保護しているだけだ」

と指摘されても仕方ありません。

使う人が気にするのは要は顧客にとって優れたサービスを提供するかどうかなので、日本のタクシー会社が革新的なサービスを作るような展開に期待したいですね。

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