スマートロックは鍵屋ではたらく鍵師の仕事を奪うのか

スマートロック

郵便受けに

「鍵をレスキュー」

「24時間駆けつけます!」

などの言葉が書かれた鍵屋さんの広告を見たことがある人は多いと思います。

飲み会で酔いすぎて、家の鍵を紛失して鍵屋さんに助けてもらったことがある人も中にはいるでしょう。

家に住んでいれば扉の鍵は毎日のようにあつかいます。

そんな鍵にもIot化がすすみ、

スマートロック

と呼ばれる新しいタイプの鍵が販売されています。

スマートロックが普及すると鍵屋さんの仕事はどうなるのでしょうか?

考えてみたいと思います。

スマートロックとは?どんな鍵なのか

スマートロックとはIot(モノのインターネット)機器の一種です。

スマートロックを使えば、鍵をスマホを使って解錠できるようになります。

つまり、ソフトウェア(アプリ)とハードウェア(器具)のセットで使える新しい鍵、ということです。

2013年頃にアメリカの大手クラウドファンディングサイトの

「Kickstarter(キックスターター)」

などでのスマートロックが多額の出資を集める事に成功したのをきっかけに有名になりました。

2015年からは日本企業による日本国内向けのスマートロックの販売が開始されています。

いまのところ民泊用の物件やシェアハウスなどで使われることが多いようです。

スマートロックの設置方法

スマートロックのおおまかな設置方法を流れで説明します。

「スマートロック」

という響きからすべてアプリケーションで処理することをイメージしがちですが、あくまでも専門のハードウェアとのセットがスマートロックです。

「Iot(Internet of things、モノのインターネット)」

ということですね。

株式会社フォトシンスのスマート鍵ロボット

「Akerun(アケルン)」

を例にして設置の流れを説明します。

  1. iPhoneかAndroid端末から専用アプリをダウンロード

  2. 会員登録してアカウントを登録

  3. スマートロックを設置したいドアが専用ハードウェアに対応しているかチェック

  4. 設置可能なことを確認できたらAkerun(アケルン)を購入

  5. 自分のスマートフォンとAkerunをペアリング設定

  6. ドアにスマートロックロボットAkerun(アケルン)を設置

  7. 設置完了

スマートロックの使い方

こちらもフォトシンス社のAkerunを例にして、スマートロックでできることをまとめます。

  • アプリのタップによる鍵の開け閉め

  • 鍵の解錠権限の発行(電子メール、SMS、LINE等で他人に渡せます)

  • 解錠権限を渡した利用者の使用状況の確認

簡単に他人と鍵を共有できるところに特徴があります。

自宅のドアの鍵以外にも応用可能

今回はAkerunを例にして説明しましたが、鍵がある状況すべてにスマートロックは普及する可能性があります。

イメージしやすいのは

  • 車・バイクのキー

  • 自転車の鍵

  • ホテルでの来客への鍵発行

  • 空きオフィス・レンタルスペースの貸し出しに利用

  • 賃貸物件の内覧で利用する共通鍵の都度発行

などです。

Akerunのフォトシンス社は賃貸・賃貸住宅サイト「HOME’S」で有名な株式会社LIFULL(ライフル)と提携して、既に一部地域に限定して内覧で利用しています。

スマートロックを導入する、使うメリット

まず個人の場合、

  • 大量の鍵を持ち歩く必要が無くなり、スマホ一台で複数の鍵(ロック)を一括管理できる

  • 家族や同棲する恋人ができたときに物理的な合鍵を作らなくて済み、必要が無くなった鍵はデジタル的に無効にできる

  • 鍵とスマホ両方で開けられるので、両方とも持っていれば片方を紛失しても解錠できる

レンタルスペースなど、物件を管理する側としては

  • 物理鍵を渡す手間が省ける

  • 利用者の入室・退室状況を把握できる

  • (オフィスなどで)鍵を発行した人以外の入室を防げる

などのメリットがあります。

コワーキングスペース、シェアハウスなどの管理にスマートロックは大活躍するでしょうし、airbnb(エアビーアンドビー)のようなシェアリングエコノミーとの相性が抜群です。

スマートロックのデメリット

  • スマホ(iPhone、Android)が無いと使えない(キーとなるアプリがインストールされた端末が必要)

  • デフォルトでスマートロックが設置されている物件は少なく、自費で購入して設置が必要

  • ペアリングしたスマホを紛失したら盗難などに悪用される恐れがある

  • 器具は電池で動作するので電池が無くなったら動かない

スマホを盗まれた場合は、スマホのロックを解除しないといけないので、手のこんだ犯罪以外ではそれほど気にする必要もなさそうです。

セキュリティ面で心配したらどんなアプリやハードウェアでもキリが無いので、スマートロックに関してもそこまで気にすることはないでしょう。

スマートロックを購入する費用は今のところ

  • フォトシンスのAkerun(アケルン):36,000円(税別)

  • Qrio株式会社のQrio Smart Lock(キュリオスマートロック):16,200円(税込)

このように価格面で高すぎるという水準ではありませんし、スマートロックが普及すれば新築物件には最初からスマートロックが導入されるので、普及が大前提ですが将来的にスマートロックを購入するのはマンション・物件オーナーや新築で家を購入する人のみになるかもしれません。

スマートロックは鍵師の仕事を奪うのか?

ここまではスマートロックそのものについて説明しました。

それでは、本題の

「スマートロックは鍵師の仕事を奪うのか?」

という部分を考えていきます。

「スマートロック」という新しい技術によって、鍵師の仕事が技術的失業状態になるかどうかです。

鍵師はいわゆる「鍵屋さん」にいます(便利屋にいたりもします)。

鍵屋の仕事内容

鍵屋さんはネットや電話で鍵に関するトラブルに見舞われたお客さんから相談を受けます。

鍵師の仕事内容としては

  • 鍵開け

  • 鍵の交換

  • 鍵作成

  • 鍵の修理・取付

などです。

鍵は活躍するジャンルが広くて

  • 住居・スペースのドア

  • 車・バイクのキー

  • 金庫の鍵

  • デスク・ロッカーの鍵

などのシーンで使われます。

大切な物を保管する金庫でスマートロックを導入するのは感覚的にもセキュリティ的にもまだ不安が大きいので導入する個人・民間企業は少なそうです。

他のシーンではウェアラブル端末の普及などによってスマートロックが日常的に利用されるイメージができます。

しかし、あくまでも既存のアナログな鍵に対して内側に後付けするタイプのスマートロックです。

海外では外に付けるタイプや、ドアごと交換しないと設置できないスマートロックがありますが、日本では賃貸物件の貸主との契約から鍵をまるごとスマートロックと交換するのは難しいでしょう。

それに、取り付け型と比較してメリットがある訳でもありません。

物理鍵とスマートキーによるリスク分散により、鍵師の仕事が減るのは確実

「鍵の紛失」について考えるとスマートロックを使用することによって

  • 物理鍵の紛失

  • アプリがインストールされた端末の紛失

が同時に起きなければ鍵師の出番はありません。

かばんなどに入れておいて、鍵とスマホ両方とも紛失する人もいるでしょうが、片方だけを無くす人と比較すると割合は低いでしょう。

となると鍵師の出番は減ってしまいます。

車やバイクにもスマートキーが使われるようになれば、鍵師が活躍できるフィールドはどんどん浸食され、スマートキーによって仕事が無くなります。

ただ、当分の間は取り付け型のスマートキーが主流になることから、根本的に鍵師が必要無くなるという状況でもなく、このような曖昧な状況では鍵師としてもスマートロック対策をとりづらいです。

では鍵師はどう生き残ればいいのか

スマートロックの現状の最大の欠点はアプリが動くスマートフォンがないと利用できない点です。

スマホが流行しているといっても国内の携帯利用者の半分はガラケー利用者なので、残ったガラケー利用者とスマートロック未導入のドア等では変わらない需要があります。

今後スマートロックがどれくらい普及するのか、実際に使ってみて本当に便利なのか、犯罪等にで悪用されないか、セキュリティは万全かなど、普及してみないとわからないことだらけなので、スマートロックができた=鍵師はもう必要ない、という状況にはなりません。

スマートロックの施工・設置などで鍵師が活躍できるフィールドがあるかもしれませんし、少なくとも2018年現在ではスマートロックが鍵師に対してどれくらい影響を与えるかまだまだ不透明な状況だと言えそうです。

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