認定遺伝カウンセラーとは?仕事内容や将来性について

認定遺伝カウンセラー

この記事では比較的新しい資格

「認定遺伝カウンセラー」

について仕事内容や将来性などを含めて全般的に解説します。

遺伝子に関する研究にはたくさんの予算がかけられており、将来有望な分野です。

しかし、そのぶん責任が重く、慎重にならないといけない分野です。

認定遺伝カウンセラーは人数が少ないですが将来的には需要が伸びそうな資格ですので、興味がある方は参考にしてください。

認定遺伝カウンセラーとは?

2003年に完了した

「ヒトゲノム計画」

などによって人の遺伝子に関する研究・理解が進むにつれて新聞やテレビなどのメディアで取り上げられる機会が増えました。

その結果として、遺伝子の影響力や遺伝性の病気に対して高い関心を持つ人も増えました。

さらにハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが検査により遺伝性の乳がんの発生リスクがとても高いことがわかり、発病前に予防として乳房の切除したことも世界中で話題になりました。

こちらも遺伝性疾患に対する認知を高める大きなきっかけになりました。

ただ、漠然とした興味関心を持っていても遺伝子に関してはなかなか自分ひとりでは専門的な知識を身につけることは難しいです。

検査キットなどは市販サイトでも販売されていますが、自分ひとりでは遺伝子情報を判断できません。

その、自分では確認ができない遺伝子情報の専門家として妊婦などの患者さんに対してカウンセリングを行なうのが

「認定遺伝カウンセラー」

です。

遺伝子カウンセラーと呼ぶ人もいますが正式名称は「認定遺伝カウンセラー」です。

「認定遺伝カウンセラー」は日本遺伝カウンセリング学会と日本人類遺伝学会が共同で認定する民間資格で、国家資格ではありません。

認定制度自体の制定の動きがはじまったのが2002年で、正式に資格として認定制度が開始したのが2005年の4月なのでまだまだ歴史が浅い資格です。

歴史が浅いせいか、認定遺伝カウンセラーの資格保有者の数はとても少なく、2017年12月までの認定者は226人となっています。1)毎年10数名程しか増えておらず、有資格者は全員名簿で確認ができます。

認定遺伝カウンセラーと類似した資格の

「臨床遺伝専門医」

が1,000人を超えていますので、認定遺伝カウンセラー資格保有者の少なさがうかがえます。

しかし、2013年に胎児の先天性異常を高い確率で判定する新型出生前診断(NIPT:ニプト)が任意とはいえはじまったことから急速にニーズが高まっている資格であることは確かです。

認定遺伝カウンセラーは医師ではありません

認定遺伝カウンセラーは医師ではありません。

臨床遺伝専門医などの医者と一緒に働くことは多いですが、患者へのカウンセリングを担当します。

よって医療行為は行いませんので注意してください。

認定遺伝カウンセラーの仕事内容

認定遺伝カウンセラーの仕事は妊婦もしくは夫婦を中心とした患者さんや相談者に対して

  • 遺伝性疾患の解説

  • 遺伝性疾患に関する正しい知識の提供

  • 出産後の育児等を支える社会的な福祉資源や公的機関の情報の提供

などの

「遺伝カウンセリング」

を行ないます。

ただ相談に乗り、対話による心理的なケアやカウンセリングを行なうのみではありません。

加えて出産後の子供の療育をサポートする知識の提供や情報の紹介なども行ないます。

ということは、ソーシャルワーカー的な内容も仕事に含まれるということです。

カウンセリングの対象が女性になりがちなので女性の方が認定遺伝カウンセラーとして仕事はやりやすいかもしません。

しかし、出生前診断の認知度が高くなり夫婦でカウンセリングを受ける人たちもいますので男性カウンセラーのニーズもあります。

認定遺伝カウンセラーになるには、受験資格

認定遺伝カウンセラーになるには認定遺伝カウンセラーの受験資格となる

「遺伝カウンセラー養成専門過程を設置した大学院を修了」

をまず、満たさなければなりません。

2018年2月現在で遺伝カウンセラー養成専門過程を設置している大学院は日本全国に14校あります。

2年から3年をかけて大学院を修了したら次は認定資格の受験です。

今のところ1年に1回秋に実施のペースで認定試験が行なわれます。

認定試験に合格した後は認定証の発行を受けて正式な「認定遺伝カウンセラー」の資格保有者となります。

試験の内容と合格率について

認定遺伝カウンセラーの資格試験には筆記試験と面接試験があります。

筆記問題は

  • 必須問題(臨床遺伝専門医試験と共通の遺伝子に関する全般の知識を問う内容)

  • 選択問題(遺伝カウンセリングに関する専門分野の問題)

のふたつで構成されています。

試験対策としては、臨床遺伝専門医制度委員会から過去の筆記試験問題集がCDで発売されています(3,000円)。

ホームページから購入できますので、過去問に興味がある方はページ下部のリンクから臨床遺伝専門医制度委員会のページへ行き購入してください。

たとえ資格試験を受けた結果が不合格でも、筆記試験か面接試験の片方に合格していれば初回の受験から連続して3回までは合格した方の試験が免除されます。

試験の合格率については公表されておらず不明となっています。

毎年の試験合格者は数は公表されていますし、合格した方の名前は名簿にて確認できますが何人受けて何人が合格したか、合格率は何パーセントかなどは公表されていません。

認定遺伝カウンセラーになるのにかかる費用と取得後の資格維持費用

認定遺伝カウンセラーの資格を取得するまでの費用をまとめます。

  • 遺伝カウンセラー養成専門過程がある大学院に通う費用:大学ごとで変動

  • 各種テキスト・教科書の費用:個人によって変動

  • 資格受験手数料:30,000円

  • 認定手数料:10,000円

もし合格して無事に認定されても5年毎の更新が必要になります。

お金に関しては更新料と、会費等の支払いも必要になりますし

  • 日本認定遺伝カウンセラー協会年会費:8,000円(入会費は無料)

  • 日本遺伝カウンセリング学会年会費:8,000円(入会費は無料)

  • 日本認定遺伝カウンセラー協会会費:8,000円(入会費は無料)

  • 5年毎の資格更新料:30,000円

※日本認定遺伝カウンセラー協会と日本遺伝カウンセリング学会はどちらか片方に在籍していれば大丈夫です

さらに、認定期間において認定遺伝カウンセラー協会事務局が定める研修を50単位以上取得することが必須となります。

※資格取得後の経過年数により必要な単位は変動します

認定遺伝カウンセラーの給料・収入や就職先について

認定遺伝カウンセラーは臨床遺伝専門医と共にクライアントをサポートする役割がありますが、実際のところ役割分担は曖昧のようです。

よって勤務先の病院や企業によって給料や待遇はばらつきがでます。

ニーズや将来性自体は高く、病院などの医療機関以外にも民間企業の参入の増加によって有資格者の奪い合いが期待できますので、タイミングなどが良ければ株式会社DeNAのような大企業で勤務することも可能です。

しかし、看護師求人専門サイトのように認定遺伝カウンセラー専門の求人情報サイトはまだありませんので、知人からの紹介や自分から自発的にサービスを実施している企業のHPで求人募集情報を探すなど、積極的に勤務先を探すことが重要になりそうです。

認定遺伝カウンセラーの求人情報や就職先について詳しくはリンク先をご確認ください。

認定遺伝カウンセラーの求人情報や就職先について解説します。

資格の将来性や市場規模などの予測

遺伝子の情報は

「究極の個人情報」

とも呼ばれる貴重なデータです。

アメリカのgoogleをはじめビジネスチャンスをつかもうと各企業が虎視眈々と機会をうかがっている状況です。

遺伝子情報はネット系企業以外にも

  • 製薬業界

  • ヘルスケア業界

  • 美容・ダイエット業界

などから熱い視線を送られています。

しかし解決すべき法律的な問題と倫理的な問題が山積みになっており、遺伝子関連の市場規模は法的・倫理的な問題を解決できるかどうか次第になっています。

企業の技術や意思だけではなく各国政府の方針や世界的な潮流などによって左右されますので、潜在的に超巨大な市場と言われていても将来的にどうなるのか予測は難しいです。

2018年現在は認定遺伝カウンセラーの数が少ない事もあり、もし数年以内に大きな市場の変化がありニーズが爆発的に増加すれば企業による認定遺伝カウンセラーの奪い合いがはじまりますので給料などもバブル的に高騰する可能性があります。

高齢出産が増えているなどの状況から来るニーズに対しての供給(有資格者)の少なさからも需要の面では高そうです。

しかし法律的・倫理的な問題など、あまりにも多くの不確定要素がありますので、今後の遺伝子関連ビジネスの市場規模予測は非常に困難な状況です。

脚注   [ + ]

1. 毎年10数名程しか増えておらず、有資格者は全員名簿で確認ができます。