映画や漫画などで見たイメージや印象が強いのか、どうしても
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カウンセリングの仕事
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臨床心理士の仕事
と聞くと、カウチに寝ている人(患者さん)と相談する医者の姿が浮かんでしまいます((有名な心理学者のフロイトなどはこのスタイルでカウンセリングをしたそうです。))。
けれど、現在はこのような形式のカウンセリングはあまり行われていないようです。
この記事では臨床心理士の仕事内容について解説します。
あらかじめ知っておきたいのは、臨床心理士は職業名ではなく資格名だということです。
よって勤務先によって肩書きが変わりますし仕事内容も変わります。
そのあたりについても簡単に説明したいと思います。
臨床心理士の基本的な仕事内容
臨床心理士の仕事は大きくは以下の4つに分かれます。
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臨床心理査定(アセスメント)
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心理面接・カウンセリング
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臨床心理的地域援助・支援
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調査研究活動
この4の仕事をしながらクライアント(相談に訪れる患者さんのこと)を社会に適応できるように支援します。
ちなみに、この4つは
「臨床心理士の専門業務」
として日本臨床心理士資格認定協会が定めています((くわしくは日本臨床心理士資格認定協会のHPから確認してください))。
それぞれを詳しく説明します。
仕事その1.臨床心理査定(アセスメント)
臨床心理士の仕事は
「臨床心理査定(アセスメント)」
からはじまります。
アセスメントとは
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適切な心理テストを実施
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会話や質問をしたりしながらクライアントを観察
などをして、クライアント(カウンセリングをする相手)の心の状態を把握することです。
そして、どのような心理的援助が最適かを判断します。
この心理的な援助とは、おもにカウンセリングのことです。
つまりアセスメントとはどんなカウンセリング方法が良いのかを判断することとも言えます。
ただのアンケートに答えてもらうことは、AI(人工知能)やロボットにもできます。
しかし相手の
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表情
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しぐさの
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言葉づかい
などの変化を読み取って、もっとも効果的であろうカウンセリング方法を考える能力は2018年現在では人間の方がずっと優れています。
仕事その2-1.心理面接・カウンセリング
心理面接・カウンセリングとはアセスメントや観察の結果に応じて最適だと判断されたカウンセリング方法を実施することです。
臨床心理士は精神科医などとは違い、薬の処方はできません。
よってじっくりと会話をしながらクライアントの支援をすることになります。
クライアントへのカウンセリングは定期的に、そして長期的に行われることが多いです。
なのでクライアントの様子や心の変化を観察しながらじっくり支援することになります。
仕事その2-2.カウンセリング方法について
カウンセリングの方法については、カウンセラーによって知識・経験の量や得意な方法が違います。
なので自分の技量とクライアントの様子を見て、自分ができる最適な支援方法を選択することになります。
仕事その3.臨床心理的地域援助・支援
地域援助・支援とはクライアントの
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学校を含む社会への復帰ブログラム
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会社への復職プログラム
などを作成したり指導することです。
さらに、復帰先となる
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職場環境
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学校の受け入れ態勢
などの調整なども含まれます。
状況によってはクライアントの家庭環境の調整もふくまれます。
つまりはクライアントが過ごしやすいような総合的な環境づくりです。
よって地域援助・支援は臨床心理士にとってとても大事な仕事です。
仕事その4.調査研究活動
調査研究活動は支援の手法などを技術的に研究したり効果を調査することです。
臨床心理士の仕事は時代の変化に対応しないと成り立ちません。
常に社会の変化や生活・行動習慣の変化を観察し、その時代に最適な支援方法が何かを研究する必要があるのです。
勤務先による仕事内容の違い
臨床心理士の仕事は
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勤務先
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クライアントの状況
などによって変化します。
ここでは勤務先によってどのような仕事になるかを簡単に解説します。
勤務先その1.学校のスクールカウンセラー
臨床心理士の資格は教育の分野で働く
「スクールカウンセラー」
になるための必須の資格として高いニーズがあります。
スクールカウンセラーの仕事の対象はかなり広いという特徴があります。
学校の生徒だけでなく、保護者の心理面のケアなどは特に大きな事件や災害が起きた時は必要になります。
さらには、教員の心理面の支援なども仕事内容に含まれることもあります。
スクールカウンセラーとして働く人の8割が臨床心理士と言われていますので、臨床心理士にとってはスクールカウンセラーはメジャーな職場です。
しかし、1年ごとの非常勤契約の上に時給制なので週に1回しか仕事ができない職場では必然的に収入も少なくなります。
スクールカウンセラーの仕事一本で生活していくのは困難ですし、少子化や臨床心理士の増加によって競争率が高くなるのは目に見えています。
仕事のやりがいなどは置いておくと、あくまでも臨時的な就職先として考えておくくらいの方がいいかもしれません。
勤務先その2.会社や組織の産業カウンセラー
景気の浮き沈みや産業、さらには社会の変化が激しい今は働く人のストレスが深刻化しています。
ただでさえ少子高齢化が進行しているのに、働き手が心の病やストレスで体調を崩したら社会にとって大きなマイナスになります。
こんな状況なので企業は働く人のメンタルヘルスのケアに力を入れはじめました。
企業や組織で働く人に対して支援するのが産業カウンセラーの仕事です。
心理的な側面だけでなく、ときには今後のキャリアなどについて悩む人も相談に訪れるので、産業カウンセラーは幅広い知識と経験が求められます。